いきなり、ショッキングな画像です。
4〜5年ほど前に購入頂いたポットを、使わずに飾ってあったが、久しぶりに旧友の来訪があり、お茶でもと使用したら、こういう気味の悪い現象が起きたが、これはなんですかというご連絡をいただいた。
最初は何のことか見当もつかなかったが、お渡しする際に貫入を防ぐためのシリコンを施していなかったのでは、、?と思ったが、貫入が入ったとしても、何故にこんなものが使用していないものから滲み出るのだ?訳がわからん!と、
まずは、とりあえず信楽窯業試験場に持って行き、そもそもシリコンを施していたのかいなかったのか、から調べることにした。
酸化物の有無を検出する機械。
試験場にはお世話になっているが、こんな検査機械は初めて見た。小さな丸い穴に綿棒の先にこの滲み液を付けて設置する。
次に、シリコン単味をつけた綿棒の検査。
結果、私は、このポットにシリコンを施してはいなかったことが判明した。では、何なのか?
分析からは、カリウム、カルシウム、鉄など。しかしその物体が総して何であるかということは、ここでは分からないということだった。それと、試験場ではこういう現象は把握しておらず、経験値も無いので、この正体を探ることより、私としては、まずはこの貫入を止める作業をすることが、今するべきことだろうと思った。後はこういう現象が、ない訳ではなさそう(知り合いから聞く)なのでここから先は、試験場として正体を解明してもらえればと思っている。
尚、これを素焼きして綺麗にしてから、シリコンを施すとこの液は滲みでなくなった。
ただ、この土と釉薬の焼き上がった時の冷却時の収縮に差がありすぎて、貫入が、時にきつくなるということは(ただしこれも、窯の状態や窯詰めした場所により、変わるが)分かっていたので、当時はシリコンを施すようにしていたのだが、
できれば、シリコンで解決というのは好きではないので、当時から土の調合、釉薬の調合、焼成温度と焼き方で、収縮を小さくする様に、改良を重ねて来ている。ので今は大きな貫入が出ることは無い。
貫入に関しては、土物(陶器)の場合は、入っているのは当たり前の現象であり、なくすると無貫入=割れる、という事で、
焼き物屋は、常にこの兼ね合いに苦労している。
私の作品は、「貫入も美しい」というのが、売りではなく出来れば入らない方が嬉しいというものなので、、、ならば、磁器で作ればいいじゃ無いかという考えもありつつ、やはりちょっとまったりしたマットな甘い風合いに惹かれて、この調合にしている。
今回の、この「貫入に茶色い薄気味悪い液体が滲みでる事件」では、顧客様に大変嫌な思いをさせてしまい、申し訳なかったです。
成形へのこだわりだけで、突っ走ってしまいがちな自分に、自己満足(きっとどっかにあった)はあかんなと自省しています。全くいつまでたっても、甘いわ。もう死ぬ頃やのに、まだまだまともなもんが作れません。(なので、まだ後10年は作る〜!?)
白い土を(半磁器も含めて)、使っている焼き物屋さんの中に、こういう現象に詳しい方が居られたら、是非教えていただきたいです。